クマとインディアン

クマとインディアン Vol.2 「マザー・ベアー」

よく知られている話ですが、子連れの牝グマは人間にとって非常に危険な存在です。
仔グマを保護し注意深く育てるという理由で、クマは母性原理の象徴になってきました。
仔グマほど母親に依存する動物は多くありません。

北アメリカ大陸に住むクマの子供は、冬に巣穴の中で産まれます。
体重はヒグマの赤ちゃんで約400g。
両手に収まるくらいです。
眼は見えず、短い産毛しかありません。
もちろん、立つこともできません。
巣穴という安全な場所で保護されながら、成長していきます。
その間、母グマ飲まず食わずで乳を与え続けます。
そうして、外の世界を知るまで母親と一体です。
仔グマは母グマにぴったりとくっついたまま、数ヶ月を過ごします。

仔グマが知っている唯一の匂いは、母親の匂い。
仔グマが知っている唯一の音は、母親の鼓動と呼吸のリズム。

春になると巣穴から出ますが、それから約2年間は共に生活をします。
もちろん、冬の間は同じ巣穴の中で過ごします。
(これは他の大きな哺乳類と比較すると約2倍の長さです)

私たちもこの世界に生まれ落ちてからの数年、周りの環境と母親の影響はとても大きなものとなります。
北米先住民はここにもクマと私たちとの類似を認めたのです。

しばしば使われるフレーズ、「マザー・べア」。
それは、クマの母性の強さを表しているのです。

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